- Q.
- そもそも住宅ローンを組むとはどういうこと?
- A.
ここでは司法書士の立場から住宅ローンについて説明したいと思います。
家を買う場合、多くの方が住宅ローンを利用してマイホームを手に入れます。当然ながら「住宅ローン=借金」であり、長い場合は35年もの間、払い続けなければなりません。どこかで借りてきて返せる程度の借金でしたら話は別ですが、住宅ローンに相当するお金を簡単に貸してくれるところはありませんので、滞りなくコツコツと返していくしかないのです。さて、もしこのローンが払えなくなってしまったらどうなるのか?
住宅ローンの契約時には何枚もの書類に署名し実印を押しますが、その中に「不動産に抵当権を設定することに同意します」という書類に印鑑を押すことになります。説明は受けたけれど、専門的なところまでは理解出来ずに印鑑を押してしまった、なんてこともあるでしょうし、そもそもサインしなければローンは貸してくれません。この「抵当権を設定する」というのがいわゆる「担保に取る」ということで、つまりは「住宅ローンが払えなくなったら金融機関側でその不動産を売ってローンの返済に充てることに同意します」という事なのです。このような「金融機関側で不動産を売って・・・」という状況になってしまうと、大抵はオーバーローンといって不動産を売ってもローン全額が返せずに自己破産するケースが多いと思われますが、そうなってしまっては夢のマイホームも"つかの間の夢"で終わってしまいますので、「返す事が出来る金額のローン」を組むようにしましょう。「返す事が出来るローン」については後ほど、「住宅ローンはいったいどの商品を選べばよい?」で説明します。"万が一、返せなくなったらどうなるのか"まで考えてローンを組む人は少数かもしれませんし、そんなことを考えたらローンなど組めない、と言われてしまいそうですが、頭の片隅には置いておく必要があるかもしれません。
- Q.
- 他に借入れがある場合や過去にクレジットカードの引き落としで延滞した事があっても住宅ローンは組める?
- A.
金融機関では住宅ローンの申し込みがあると個人信用情報の確認を行います。「個人信用情報」とは金融機関、消費者金融からの借り入れやクレジットカードの利用状況をまとめた情報です。
個人信用情報をどの程度利用するかは審査する金融機関によっても違うため、他に借り入れがあったり、延滞履歴があったりすると、A銀行では通らなかったローンがB銀行では通った、申し込んだ優遇金利では借りられなかったが、少し高い金利なら審査が通った、ということがあります。
また、現に借入れを行っていなくても、クレジットカードに附帯されているキャッシング枠が審査対象になり「借りる可能性がある」と判断される場合もありますので、キャッシング枠を使わないのであれば、カード会社に連絡してキャッシング枠をゼロにする等の対策も有効です。ただし借り入れやカード情報が信用情報機関に登録されるには時間差がありますので注意してください。
なお、まれに同姓同名で生年月日も同じ人の情報がローンの審査で参照されてしまい、ローン審査で通らないといった事もあるようです。この個人信用情報は有料ですが自分で取り寄せする事も出来ますので、気になる事があれば事前に取り寄せてみるのも一つの手です。
- Q.
- 住宅ローンはいったいどの商品を選べばよい?
- A.
いまや各銀行、ノンバンクが競って金利を下げ競争する時代となりました。女性専用、三大疾病保障付、失業・リストラにあった際の保険が付いた商品など、いったいどれを選べばよいのかわからなくなる事もあります。
余裕があれば家計状況の診断をしてもらえるFPなどの専門家を利用し、家族構成、親の介護、生命保険などご自身の家庭の状況を踏まえてアドバイスを受けるのも、今後の長い返済の事を考えると決して高い投資ではないと思います。当事務所では提携する専門家のご紹介も行いますので、お気軽にお問い合わせください。
そこまでの余裕が無いという方へのアドバイスはこちらです。
① 借りることが出来るローンと返すことが出来るローンは違う
② 金利だけに惑わされない一つ目の「借りることが出来るローンと返すことが出来るローンは違う」というのは、現時点でローンの審査が通り、お金を借りることが出来たとしても、今後の仕事や家族の状況等によってローン以外の支出が大きく変わる可能性があることを考慮する必要がある、ということです。金融機関では現時点での収入に対するローンの支払額(返済比率)等をもとにいくらまでローンを組む事が出来るかを判断しますが、長い返済が始まると"返すことが出来る"金額は状況によって変わってくるのです。このことを頭に入れて借入れ金額やマイホームの予算を決めることをお薦めします。
二つ目の「金利だけに惑わされない」というのは、ローン商品には最初の金利を低く設定し、何年か後に金利が上がるという仕組みの商品もあります。また「あなたにはこの金利で貸します」といった形で優遇金利を提示される場合もありますが、この優遇金利がずっと続く場合もあれば、最初の金利見直しまで、といったものもありますので注意が必要です。
また、インターネットの操作は苦手なのにネット銀行と呼ばれる銀行を使ったり、自宅や職場から離れた所にしか支店が無い銀行でローンを組んだりといったことは、長い付き合いをしていくうえでストレスになる可能性がありますので、生活スタイルにあった金融機関を選択することも重要です。
- Q.
- 申し込みが決まった後の手続きは?
- A.
購入する不動産が決まり住宅ローンに目途がついたら、あとはローンの実行を待つだけです。中古住宅や土地の購入などでは、ローンの実行=不動産の引き渡しということになります。ここでようやく司法書士の出番です。残念ながら様々な理由で司法書士を選べない場合もありますが、中古物件を中心に、最近では買主様が司法書士を指定できるようになってきていますので、指定が可能であれば是非ご連絡ください。喜んでお手伝いさせていただきます。
また、家を買うと決めたら早めにご連絡いただければ、他の専門家の知恵もフル活用してお手伝いさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
- Q.
- 借り換えに興味があるがどこに相談してよいかわからない…
- A.
- 住宅ローンに関する資格を持った専門家が、お客様に適したローンの選択や借り換え手続きのアドバイスを行っています。当事務所ではそれらの専門家への橋渡しと借り換えにおける抵当権の手続きについてのお手伝いをさせていただくことができます。詳しくはご相談ください。
- Q.
- 不動産が兄弟、親族との共有になっており、借り換えできないと言われた…
- A.
- 金融機関によってはローンを組める場合もあります。詳しくはご相談ください。
しかし、共有者が亡くなった場合は所有関係が複雑になるため、持分の売買・贈与や不動産の売却を検討することも必要です。
- Q.
- 住宅ローンの支払いが大変なのでなんとかならないか…
- A1
- ローンの借り換えをして返済額を減らす
借り換えをすることにより現在より低い金利でローンを組み直せる場合があります。
但し、借り換えに諸費用がかかるため、一時的に負担が大きくなる事があります。 - A2
- 住み替えを検討する
残っているローンより高い金額で不動産を売却できる可能性があれば、住み替えという選択肢もあります。
任意売却・競売とは
不動産の価値より残っているローンの方が多い場合(オーバーローン)、債権者との交渉により債務の割引を受けるなどして自宅を売却する方法を任意売却といいます。
また支払いが滞った状態が続くと裁判所を通して強制的に自宅の売却手続きがされる場合があります。
これを競売といいます。裁判所から通知がきても、速やかな対応を取れば自宅を手放さなくてすむ場合があります。
ワンルームマンションなどの投資物件のローンは借り換え先が限られることや、オーバーローンの可能性もあるため、現在の家計の収支を確認するなど、慎重に検討する必要があります。
他の専門家と組んでご相談させていただくことも可能です。
住宅ローンの支払いが終わっても、借り入れた際に付けた抵当権は自動的には消えません。
返済が終わった場合は借入先の金融機関から抵当権抹消に関する書類が渡されますので、これらの書類に必要事項を書き込み、申請書を作成したうえで不動産を管轄する法務局で抵当権の抹消手続きをすることになります。
登記申請後、書類に不備があれば訂正しに行かなければならないため、ご自身で手続きをされる場合は、登記簿の事前調査・申請・訂正・完了の受け取りなどで、平日の日中に2~3回法務局へ足を運ぶ必要が出てくることもあります。
私どもでは、金融機関から受け取られた書類とお客様からの委任状をお預かりし、これらの手続きの代理をいたします。
手続き代理に関する費用はこちらをご覧ください。